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俺「…ふん

 

何回も通ったこの道

 

雨が降ったために
妙な静けさが違和感を生む

 

時刻は21時14分
俺は家に帰っている

 

カラオケでついつい…な。

 

ふと前方を見る

 

俺「…ん!?

 

老人が一人
傘もささずに歩いている

 

俺は余裕で追い抜いた。

 

次の突き当たりを右にまがった。

 

…俺は目を細めた


俺「あれ…?

 

追い抜いたはずの老人が前に

 

俺「人違い…か?

 

俺は疑心暗鬼になりながらも
その老人を抜き去った

 

ふと、寒気がして後ろを振り向いた

 

老人が口をパクパク動かしてる

 

俺「…お・お・え?

 

公園の大きな時計の長針が
21時14分をさした

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

老人は

おおえ

と言っているのではなく、

もどれ

と言っている。

 

前半でも後半でも

21時14分なのは

老人が時間を戻しているため。

 

追い抜いたはずの老人が前に

と言っていることから

時間を戻しても

語り手の記憶は消えないようだ。

 

実際に体験したら

無限ループに陥っている感覚になり、

非常に恐ろしくなりそうだ…

 

 

それにしても老人は

追い抜かれただけで時間を戻している?

 

だとしたら相当な負けず嫌いなのだが…